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宇野千代『踏切のある風景』は夙川にあったホテル・パインクレストを舞台にた昭和7年の作品で、当時複雑な女性関係を持っていた東郷青児と宇野千代の関係をベースにしています。 小説では若い男の愛人・篠原しのぶと若い男の妻は姉妹という設定ですが、若い男は東郷青児をモデルとし、東郷青児が宇野千代と同棲する前に心中未遂事件を起こした西崎盈子が篠原しのぶの妹のモデルになっているようです。 彼らが宿泊しているホテルは、夙川のパインクレストを思わせます。 <若い男はしのぶの側に寄ってそっと手を取る。ぽお、と汽笛の音が聴こえる。ホテルのある丘の下をすぐ汽車が通っているのだ。> 宇野千代が宿泊していたとき、パインクレストまで汽車の汽笛の音が聴こえていたのでしょう。 昭和11年の吉田初三郎の西宮市鳥観図です。黄線で囲った上から順に、ホテル・パインクレスト、カトリック夙川教会、大師踏切です。 <風が吹いている。風につれて汽車の音がすぐ近く聴こえる。若い松の梢が柔らかく揺れている。松林の中にある赤い屋根の家から煙の上がっているのが見える。> これも宇野千代がホテル・パインクレストで見た風景でしょう。 更にアンジェラスの鐘の音が聞こえてきます。 <カトリックの朝の鐘が鳴る。「僕、トーキーで聴いたよ、パパ、」「何を聴いたんだい?」「分からないの、パパ。西洋のお寺の鐘じゃないの。」若い男は答えないで歩く。> これはカトリック夙川教会から聞こえてきた鐘の音だったのでしょう。 カトリック夙川教会の尖塔の下にある日本最古といわれるカリヨンです。 しのぶと若い男がホテルの部屋で長い接吻を交わしているときのことです。 <突然、丘の下の踏切から、ぽお、ぽお、と続けざまに警笛の音が聴こえて来る。「あ、」しのぶは顔をあげる。男もそっと腕をといて、しかし落ちついてベッドの上に女をかけさせる。「大丈夫ですよ。また終列車がどこかの自動車と衝突したんですよ、松の木の蔭になってて、まるで見通しが利かないんだから、―」二階や三階のほかの部屋で窓をあけている音がする。男も起って行って窓をあける。黒い松の木の間から、機関車のらしい赤い焔と夥しい煙とが見える。> パインクレストは3階建ての建物でしたし、周りには松の木が生えていました。 この小説は昭和7年に書かれたものですが、踏切事故は谷崎潤一郎が『春寒』で詳しく述べている昭和5年の渡辺温の大師踏切での事故死から発想したのではないでしょうか。 谷崎潤一郎『春寒』からです。 <本誌の記者渡辺温君が阪神沿線の夙川において不慮の事故を遂げたことは当時の新聞に出ていたから、すでに読者はご存知であろう。渡辺君は、僕に原稿を書かせるためにわざわざ独断で関西へやって来て、あの災難に遭ったのであるから、僕としては一層哀惜の念に堪えない。> そして、踏切の見通しの悪さについて次のように書かれており、宇野千代が参考にしたことがわかります。 <夙川の踏み切りは間違いの多いところで、今まで何人殺されているか知れないのである。北から南へ越すときはそうでもないが、南から北へ越すときは、両側に大きな松の枝があり、踏み切り番の小屋があって、見通しが利かない。> 現在の大師踏切です。 宇野千代の『踏切のある風景』は次のように終わります。 <ふいに暗い丘の下の道から黒い大勢の人影が騒ぎながら上って来るのが見える。自転車に乗った男が息せき切って走って来る。「どなたか来てください。ホテルのお客さんですよ。女のお客さんが轢かれましたよ。」しのぶは眼を大きくみひらいたまま動かない。忍の眼には光っている二本のレールと、青白い妹の腹とが見える。 ―窓の下が騒がしくなる。そとは昼のように明るい月夜。 ―ホテル・パインクレストにて、一九三二・六。>
by seitar0
| 2023-11-10 13:56
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