昭和の初め、大阪毎日新聞社の写真部長であった北尾鐐之助は「阪神風景漫歩」で武庫川の水の美しさについて、貴志祐介が描いた武庫川とは対照的に述べています。
<水が美しい。阪神間を流れる川の中で、何と云っても一番武庫川の水が美しい。宝塚で入れる汚水などは全くここまでは影響がない。夏の旱天には、どうかすると一滴の水もなくなるが、大概、清い美しい水を流している。
河原で火を焚いている。水の中を走り回って網を投げるものがある。水が少しも濁らない。
私はこの堤を歩くことが好きだ。ここを歩いて、誰もが何でもなく見逃す、あの松林をいい景色だと思う。>


現在の武庫川河畔では、陸上や野球、ラグビーなど様々な練習風景が見られます。
そして松林は今も健在です。
<私はこの河口へは幾度も足を運んだ。天気続きのある日、この川の流域を歩いていると、西国街道筋にかかった、甲武橋附近で一度なくなった河水が、阪急線あたりで再び流れているのを見た。用水にとる結果でもあるが、川底の砂を潜る伏流である。そういう自浄作用を続けた水は、透徹玉のようであった。>


甲武橋附近は昔から干上がり易かったようで、現在も変わりません。

阪急線の橋はピンクに塗装されていました。 現在の武庫川の水も生活廃水が流れ込まなくなり綺麗になったと思いますが、昭和の初めの水の透明度は比べ物にならないくらい素晴らしかったようです。