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京都の和束町に所用があり、帰りに浄瑠璃寺を回ってきました。 和束町は奈良平城京と宇治平等院との中間に位置し、京都府内で栽培されるお茶の約4割が生産されているそうで、別名「茶源郷」とも呼ばれています。 京都府の景観資産第1号に指定された和束町の茶畑。 ここから車で10分程度で浄瑠璃寺です。 堀辰雄夫妻が奈良の浄瑠璃寺を訪ねたのは昭和18年4月のこと。 <最初、僕たちはその何の構えもない小さな門を寺の門だとは気づかずに危く其処を通りこしそうになった。その途端、その門の奥のほうの、一本の花ざかりの緋桃の木のうえに、突然なんだかはっとするようなもの、――ふいとそのあたりを翔け去ったこの世ならぬ美しい色をした鳥の翼のようなものが、自分の目にはいって、おやと思って、そこに足を止めた。それが浄瑠璃寺の塔の錆びついた九輪だったのである。> 現在は九輪も錆びてはおらず、荘厳なたたずまいです。 < その小さな門の中へ、石段を二つ三つ上がって、はいりかけながら、「ああ、こんなところに馬酔木が咲いている。」と僕はその門のかたわらに、丁度その門と殆ど同じくらいの高さに伸びた一本の灌木がいちめんに細かな白い花をふさふさと垂らしているのを認めると、自分のあとからくる妻のほうを向いて、得意そうにそれを指さして見せた。> 浄瑠璃寺の門に向かう小道に、馬酔木が多く植えられており、堀辰雄が訪れたのは、春ですから綺麗に咲いていたようです。 <「おい、こっちにいい池があるから、来てごらん。」 「まあ、ずいぶん古そうな池ね。」妻はすぐついて来た。「あれはみんな睡蓮ですか?」 「そうらしいな。」そう僕はいい加減な返事をしながら、その池の向うに見えている阿弥陀堂を熱心に眺めだしていた。> 三重塔から池の向こうに阿弥陀堂が見えます。 浄瑠璃寺には、池を中心とした浄土式庭園と、平安末期の本堂および三重塔が残り、平安朝寺院の雰囲気を残しています。本堂は多数建立された九体阿弥陀堂の中で、唯一の遺構とのこと。 <うすぐらい堂のなかにずらりと並んでいる金色こんじきの九体仏を一わたり見てしまうと、こんどは一つ一つ丹念にそれを見はじめている僕をそこに残して、妻はその寺の娘とともに堂のそとに出て、陽あたりのいい縁さきで、裏庭の方かなんぞを眺めながら、こんな会話をしあっている。> <僕はそんな考えに耽りながら歩き歩き、ひとりだけ先きに石段をあがり、小さな三重塔の下にたどりついて、そこの松林のなかから蓮池をへだてて、さっきの阿弥陀堂のほうをぼんやりと見かえしていた。> 上の写真は阿弥陀堂側から見た三重塔です。 『浄瑠璃寺の春』は、次のように馬酔木の花から始まり、 <この春、僕はまえから一種の憧れをもっていた馬酔木の花を大和路のいたるところで見ることができた。> 最後も馬酔木の花で結ばれています。 <僕はそのときふいと、ひどく疲れて何もかもが妙にぼおっとしている心のうちに、きょうの昼つかた、浄瑠璃寺の小さな門のそばでしばらく妻と二人でその白い小さな花を手にとりあって見ていた自分たちの旅すがたを、何だかそれがずっと昔の日の自分たちのことででもあるかのような、妙ななつかしさでもって、鮮やかに、蘇らせ出していた。> 堀辰雄にとって、馬酔木は特別な思い入れがあったようです。
by seitar0
| 2022-10-17 09:46
| 堀辰雄
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