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戦時中、小林聖心女子学院に戻った須賀敦子さんは、本の話ができるたった一人の親友ようちゃんから、学校の帰り道のみこころ坂で秘密を打明けられます。 <ようちゃんが彼女の大事な秘密を打ち明けてくれたのは、ちょうど私たちが掃除当番の日で、みんなにすこし遅れて坂を降りていた。はやくしないと駅に着くまでに日が暮れる。こわい男が出るという、そんなうわさがよくひろまった淋しい坂道で、私たちは早足でつまさきだって歩いていた。そのとき、なんのまえぶれもなく、彼女が私に宣言をした。わたし、と彼女は話しはじめて、ちょっと息をついた、その息のつき方がいつもとちがったから、彼女の顔を見ると、なにか目がしんとしているような、ふしぎな表情をしていた。> ![]() <こちらのそんな気持ちにはおかまいなく、ようちゃんはつづけた。わたし、K先生について、カトリックの教理を勉強してるの。だれにもいわないでね。でも、春になったら洗礼を受けるつもり。へええ、と私は呆気にとられ、おもわず足をとめて彼女の顔をもういちど見つめた。K先生というのは、学校が工場になってしまったことで、だれもがひび割れたような気分になっていたそのころも、ただひとり、という感じで生徒たちの信望をあつめていたイギリス帰りの女の先生だった。> その頃須賀さんは、既にカトリックに入信していた友人に、「どうして、あなたは神さまなんて信じるの。人間は信じられないの」といじわるな質問をしていたほどですから、ようちゃんの打明け話には驚いたことでしょう。 <修道院に入ることにしたと私に告げたとき、ようちゃんは、まるで、あしたは神田の本屋に行く、というような、あたりまえのことをいうような顔つきだった。そう聞いて私も、戦争中に桜並木の坂道で、こんどカトリックになる、とうちあけられたときほどびっくりはしなかったけれど、どこの、とたずねると、彼女が北の島の修道院の名をあげたのでふっと胸を突かれた。戒律の厳しさで有名な修道院だったからだ。> ![]() <修道女になったら、とようちゃんは、やはりなんでもないことみたいに、つづけた。たぶん、もう会えないと思うよ。うん、わかってる。私はあかるくこたえた。もう会えない、とか、別れる、とかいうことについて、なにもわかってなかったから、私は体育会の学生みたいに元気だった。いいじゃない。会えなくたって。> ようちゃんのお話は更に続きます。
by seitar0
| 2022-06-18 16:21
| 須賀敦子
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