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堀辰雄と竹中郁は波止場からフランス水兵帽のポンポン・ルウジュを見ながら北に向かいます。 ![]() <ときどきすれちがっていくポンポン・ルウジュが、まるで嬉しがっている心臓のように、ぴょんぴょん跳ねていたが、それが私の沈んだ心臓と良い対象をした。海岸通りの何とかいう薬屋のショオウィンドを覗いたら、パイプやなんかと一緒に五六冊、英吉利語の本が陳列されてあった。そのなかにふと海豚叢書の「プルウスト」を見つけたので、ゆうべの読みづらかったハイネの詩集を思い出しながら、その薬屋のなかへ這入ってその小さな本を買った。T君の話では、この店にはときどき随筆物で面白い本が来るのだそうだ。> ![]() 堀辰雄が購入した海豚叢書の「プルウスト」とは、昭和6年にロンドンで発刊されたDolphin Books seriesの『Proust』(Chatto & Windus,1931)と思われますが、堀辰雄はDolphin Books seriesを海豚叢書(いるかそうしょ)と翻訳したのでしょうか。 さて、この薬屋について、竹中郁は「消えゆく幻燈」で詳しく説明しています。 <堀君がドルフィン叢書の『プルースト論』を買った店は英三番の「トムスン」という薬屋であり本屋であり食料品屋であり、二階造りのそのまま絵になるような、間口六間くらいの店であった。メリケン波止場から市背の山を正面にみて、やがて現在の大丸百貨店がみえようというところの左側、現在の住友銀行のところがそうであった。表口に三段位の石階があって、観音開きのドアを押すと仕掛けの鈴が鳴った。奥からのそりと小柄なイギリス人のトムスンさんが出てきて、じつは達者な日本語(それも土着の神戸弁)で応対した。> ![]() 英三番館は、旧居留地三番地にあったのかと思いましたが、海岸通り1丁目の旧神戸郵船ビルから少し上がった西町にありました。 ![]() <絵になると書いたのは、実は友人の小松益喜君がこの家にほれこんで、真正面からの構図を大作小作とりまぜ四五枚は描いたのをみてもわかる。石階の両側は幅広いセメント壁。それを白ペンキで塗り上げて、扱う英商品のいろいろを代赭の文字でまるですだれのように描いてある。石階のうえにあたる壁には大ぶりにトムスンと横一文字に強く人目をひく。こうして、その姿は小松画集に色刷りになって、今日のこった。> それが下の絵です。 ![]() <この建物は西町にあった。コンクリートの壁に書かれた文字が、風雨にさらされて消えかかったり、よごれたり、下の方が次第に濃くなっていたのが面白かった。ここは毎年一作ずつ八年間、違った構図で描き続けた。この文字は素描しては家で描き、家で描いてはまたカンバスを持ち出して、調子を訂正した。十時ごろの冬の光を中心にして仕上げた。(中略) 最後に、私がこの五十号を積むのに後輪に工夫した荷掛けを作り運んだという自転車を描きこんで筆を置いたものである。> 小松益喜が丁寧に書き込んだ文字は次のように読めます。 J.L.THOMPSON&Co. DISPENSING CHEMISTS.(薬剤師) TOBACCONISTS. (たばこ屋)BOOKSELLERS.(本屋) STATIONERS (文房具店)NEWS AGENTS (新聞販売) AGENTS FOR KELLY&WALSH LTD.(ケリー&ウォルシュ代理店 本屋) AGENTS FOR NAUTICAL CHARTS & SAILING DIRECTIONS(海図・水路誌販売店) PATENT MEDICINS(特許医薬品) PERFUMERY.(香水) SOAPS.(石鹸) SPONGES BRUSHES(スポンジ ブラシ) TOILET PREPARATION(トイレ用品) INFANTS & INVALIDS FOODS & REQUISITS.(幼児、病弱者必要品) SHIP’S MEDICAL SUPPLIES (医療用品) AERATED WATER BOTTLERS(炭酸水用瓶) 正に高級輸入雑貨店。今の紀ノ国屋みたいなものでしょうか。 異人館の画家と呼ばれた小松益喜は自転車の荷台には50号くらいの大きなキャンバスを乗せるための鉄製の画架を取り付け、その上に平らに絵具箱を置けるよう工夫して、写生に出かけたそうです。その愛車がこの絵に描き込まれていたのです。 このお店、川西英の神戸百景の版画にもありました。 1936年の作品で「西洋薬種店」と題されています。 ![]() 川西英『西洋薬種店』の解説にはトンプソン商会は、神戸郵船ビルの北側にあった薬局兼雑貨屋とあります。 やはり芸術家の目を惹くトンプソン商会でした。
by seitar0
| 2022-02-27 13:11
| 堀辰雄
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