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Sr.三好切子(第2代、聖心女子大学学長)は「少年周作のあとを追って」で遠藤周作の子供時代の教会での体験を次のように述べています。 <その頃の夙川教会に一見フランス人らしい初老の男性がいた。彼はよく教会に来て、二階の賛美歌隊のうしろに坐ってそっとミサにあずかっていた。きくところによると彼は巴里宣教会に属していて、かってミッショナリーとして日本へ派遣されてきたが後々司祭職をすてたという事だった。どのような印象を少年周作が彼から受けたかはわからない。> ![]() その体験を遠藤周作は小説『影法師』に次のように書いています。 <その教会に時折り、一人の老外人がやって来るのでした。信者たちの集まらぬ時間を選んで司祭館にそっと入る彼を僕は野球をしながら見て知っていました。「あれは誰」伯母や母に訊ねましたが、彼女たちはなぜか眼をそらせ黙っていました。しかし足を曳きずるように歩くこの男のことを僕は仲間から教えてもらいました。「あいつ、追い出されたんやで」神父のくせに日本人の女性と結婚し、教会から追放された彼のことを信者たちは決して口には出さす、まるでその名を口に出しただけで自分の信仰が穢れると言うように口をつぐんだものです。そっと会ってやるのは、あのピレネー生まれのフランス人司祭だけだった。僕自身と言えば、そんなこの老人を怖ろしいような、そのくせ好奇心と快感との入りまじった感情でそっと窺っていたものです。> ![]() 上から二列目左端の眼鏡をかけた少年が遠藤周作で、下段中央がピレネー生まれのフランス人司祭メルシェ神父です。 更に、Sr.三好切子は次のように述べています。 <作家遠藤周作の中に人間の弱さ、特に背教者の人間的弱さへのあたたかい思いやりを養ったのではと思われる。彼の作品にはよくレノゲ(背教者)が出てくる。> 『沈黙』も又その作品で、日本人にとってキリスト教は何かを問う物語。ポルトガル人宣教師ロドリゴはキチジローの裏切りで密告され、捕らえられますが、連行されるロドリゴの行列を、キチジローは泣きながら必死で追いかけます。 ![]()
by seitar0
| 2021-11-12 19:20
| 遠藤周作
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