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蒔岡家の三姉妹が阪急御影の桑山邸で開かれるレオ・シロタ氏のピアノの演奏会に行くため、車で阪急芦屋川駅に着いた場面から紹介します。 その前に、美人三姉妹の容貌の描写がありました。 <先ず身の丈からして、一番背の高いのが幸子、それから雪子、妙子と、順序よく少しずつ低くなっているのが、並んで路を歩く時など、それだけで一つの見物なのであるが、衣裳、持ち物、人柄、から云うと、一番日本趣味なのが雪子、一番西洋趣味なのが妙子で、幸子はちょうどその中間を占めていた。顔立なども一番円顔で目鼻立がはっきりして、体もそれに釣り合って堅太りの、かっちりした肉づきをしているのが妙子で、雪子はまたその反対に一番細面の、なよなよとした痩形であったが、その両方の長所を取って一つにしたようなのが幸子であった。服装も、妙子は大概洋服を着、雪子はいつも和服を着たが、幸子は夏の間は主に洋服、その他は和服と云う風であった。> ![]() さて、家を出るのが遅れた三姉妹が阪急芦屋川駅に到着し、居合わせた人々が皆振り返って目をそばだてたという場面です。 <いつも音楽会と云えば着飾って行くのに、分けても今日は個人の邸宅に招待されて行くのであるから、精一杯めかしていたことは云うまでもないが、折柄の快晴の秋の日に、その三人が揃って自動車からこぼれ出て阪急のフォームを駈け上るところを、居合す人々は皆振り返って眼を欹だてた。日曜の午後のことなので、神戸行の電車の中はガランとしていたが、姉妹の順に三人が並んで席に就いた時、雪子は自分の真向うに腰かけている中学生が、含羞みながら俯向いた途端に、見る見る顔を真っ赧にして燃えるように上気して行くのに心づいた。> ![]() こちらは1959年版映画『細雪』で撮影された阪急芦屋川駅。 もちろんまだ自動改札ではなく、駅員さんが立っています。 ![]() ガード下の道路はまだ舗装もされていませんでした。 ![]() こちらは現在の阪急芦屋川駅。 ![]() こちらは、『細雪』が書かれた昭和の初めのころの阪急芦屋川駅。立体交差にもなっておらず、水道路の風景もまったく違っています。 ![]() こちらは1959年版映画の阪急芦屋川駅プラットホーム。 ![]() 下りホームです。 ![]() 現在の様子です。ホームは芦屋川の上まで延びています。 阪急電車のマルーンカラー、現在のように美しくなったのはいつ頃からだったでしょう。 メンテナンスも他の電鉄会社と全然違うそうです。
by seitar0
| 2020-05-28 22:10
| 谷崎潤一郎
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