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谷崎潤一郎『細雪』の冒頭の「こいさん、頼むわ。── 」の場面で、妙子が幸子の襟首の白粉を塗るのを手伝いながら、新たなお見合いの相手の話をします。 <「井谷さんが持って来やはった話やねんけどな、!」「そう、 ── 」 「サラリーマンやねん、MB化学工業会社の社員やて。──」「なんばぐらいもろてるのん」 「月給が百七八十円、ボーナス入れて二百五十円ぐらいになるねん」「MB化学工業云うたら、仏蘭西系の会社やねんなあ」「そうやわ。── よう知ってるなあ、こいさん」 「知ってるわ、そんなこと」一番年下の妙子は、二人の姉のどちらよりもそう云うことには明るかった。そして案外世間を知らない姉達を、そう云う点ではいくらか甘く見てもいて、まるで自分が年嵩のような口のきき方をするのである。 「そんな会社の名、私は聞いたことあれへなんだ。── 本店は巴里にあって、大資本の会社やねんてなあ」「日本にかて、神戸の海岸通に大きなビルディングあるやないか」 「そうやて。そこに勤めてはるねんて」> ここに登場する仏蘭西系のMB化学工業とは、大岡昇平が戦後勤め、『酸素』の題材になったフランス系企業の帝国酸素がモデルとなっています。本社ビルは海岸通りではありませんが、旧居留地の明石町にあり、現在も神戸大丸別館として使われています。 ![]() 建物はW.M.ヴォーリズの設計で1929年にナショナル・シティバンク神戸支店として建設されました。1階をシティバンクが使用、2階には独逸染料、バイエル薬品が入居、3階に帝国酸素が入居していましたが、その後2階のドイツ系2社が退去し、2階、3階を帝国酸素が使用していました。 大岡昇平が帝国酸素に勤めていた頃、『細雪』は書かれたのですが、大岡の文壇レビューは戦後まもなくですから、『細雪』のMB化学工業会社の見合い相手は大岡とは関係なさそうです。 一方、大岡昇平が1955年に著した『酸素』は完結しなかったものの、『細雪』に対抗して、戦争に向かう時代の阪神間に住む中産階級家族の破綻を描こうとしたものでした。 ヴォーリズの建物をめぐる面白い関係です。 また見合い相手となるMB化学工業のサラリーマンはそのまま『平成細雪』でも登場していました。 ![]() <現在では月給も少ないけれども、まだ四十一だから昇給の望みもないことはないし、それに日本の会社と違ってわりに時間の余裕があるんで、夜学の受け持ち時間の方をもっと殖やして四百円以上の月収にすることは容易だと云っているから、新婚の所帯を持って女中を置いて暮らして行くには先ず差支えあるまい。> という記述もあり、昭和十年代、中産階級と言われたサラリーマン家庭でも女中さんを置いていたことがわかります。振り返れば、貧富の格差が大きな時代でした。 この見合い写真を持ってきたのは、幸子の行きつけの美容院を経営する井谷律子でした。 <井谷と云うのは、神戸のオリエンタルホテルの近くの、幸子たちが行きつけの美容院の主人なのである。縁談の世話をするのが好きと聞いていたので、幸子はかねてから雪子を頼み込んで、写真を渡しておいたところ、先日セットに行った時に、「ちょっと奥さん、お茶に付き合って下さいませんか」と手の空いた隙に幸子を誘い出して、ホテルのロビーで始めて此の話をしたである。> テレビドラマ『平成細雪』では、神戸でサロン・ド・井谷を営む井谷 律子として登場です。 ![]() <井谷は普通の婦人よりは何層倍か頭脳の回転が速く、万事に要領がよい代わりに、商売柄どうかと思われるくらい女らしさに欠けていて、言葉を飾るような廻りくどいことをせず、何でも心にあることを剥き出しに云ってのけるのであるが、その云い方がアクドクなく、必要に迫られて真実を語るに過ぎないので、わりに最手に悪感を与えることがないのであった。> 女らしさに欠けているというのは失礼ですが、濱田マリの演技は原作にぴったりのものでした。
by seitar0
| 2020-05-11 23:54
| 谷崎潤一郎
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