昭和38年に刊行された三島由紀夫「午後の曳航」は横浜山手を舞台に、ブティックを経営する未亡人黒田房子と息子の登、そして房子に恋する外国航路の船員とが織り成す人間模様と、少年たちの残酷性を描いた、少し官能的な小説です。

昭和51年には日米英合作の映画が、舞台を英国に移して作られています。
三島の「午後の曳航」創作ノートも新潮社「決定版三島由紀夫全集9」に収められており、横浜の取材の様子や、小説には描かれていない背景までこと細かく記されています。
この小説の舞台となる、「死んだ父が建てた横浜中区山手町の、谷戸坂上の家」のモデルとなった家の写真が、「決定版三島由紀夫全集9」の最後の田中美代子氏の解説に掲載されていました。

その説明によると「昭和38年4月、横浜・港の見える丘公園。正面奥の洋館が「午後の曳航」黒田邸のモデルとなった家」とあります。
どう見ても、現在の大仏次郎記念館の位置に建っている家です。

三島が取材したのは昭和38年、記念館ができたのは昭和53年ですから、昔はモデルとなった家があったのでしょう。

谷戸坂上の家として、山手111番館や横浜市イギリス館があり、そちらがモデルかと思っていました。

上の写真はイギリス館です。

山手111番館(旧ラフィン邸)は白壁と暖かな赤い瓦屋根を持つスパニッシュスタイルの瀟洒な洋館で、無料で見学できます。