話は逸れてしまいましたが、セーヌ川から武庫川に戻ります。
<私はこの堤を歩くことが好きだ。ここを歩いて、誰もが何でもなく見逃す、あの松林をいい景色だと思う。>

松林は当時より少なくなったのでしょうが、今も健在です。
<私はこの河口へは幾度も足を運んだ。天気続きのある日、この川の流域を歩いていると、西国街道筋にかかった、甲武橋附近で一度なくなった河水が、阪急線あたりで再び流れているのを見た。用水にとる結果でもあるが、川底の砂を潜る伏流である。そういう自浄作用を続けた水は、透徹玉のようであった。>

西国街道の甲武橋から見える甲山と六甲山です。新幹線も走っており、北尾も想像できなかったでしょう。
阪急線あたりでは水が滔々と流れていました。
<この武庫川堤を、河口から宝塚までのドライブは、阪神間において、けだし絶好な所だろう。どこか好きなところで車をとどめる。一家が磧に下り立って水に遊ぶ。飽けばまた車を走らす。>現在は堤防の上の交通量は多く、好きなところで車を止めるわけにはいかないようです。